MFO-3未購入レビュー。
2025-09-03
革命?
こんにちは。僕のだいびんぐらむです。
皆さんは次のダイビングのレンズはどうしよう…と悩んだ経験はないですか?
もしくは、水中で出会った魚が大きくてもう少し広角のレンズにしておけばよかった…と思った経験はないですか?
僕は宗教上の理由で、目にした全ての魚を撮らねばならないという足枷がついているのですが、いつどこで潜ろうにもこの問題がついて回って困っています。

↑ズームにするか中望遠にするか迷った挙句、中望遠で潜って絶望した図
そんな悩みを一発で解決してくれる製品が突然ノーティカムから発表されていました。
その名も「ミッドレンジ フォーカス オプティマイザー MFO-3」。
90mm、100mm、105mmなどの中望遠フルサイズマクロレンズを約60mm相当の焦点距離と画角に変換するレンズで、水中で100mmと60mmの切り換えができる外付けレンズになります。
外付けレンズとして有名なワイドコンバージョンレンズの中望遠マクロ版というのが分かりやすいでしょうか。
60mmマクロが存在しないと普段ブチギレている我々Canonユーザーには待望の製品ですね!
未購入レビュー
さて、僕はMFO-3を持っていないのですが、気になる使用感についてレビュー(?)をしていきたいと思います。
なお、今回はCanonのフルサイズ機+RF 100mm f/2.8 L Macro IS USMを使用する前提で議論しますが、他のレンズでもそこまで大きな差異は出ないはずです。
まず、公式の仕様より、本製品はレンズ単体の対角画角24°を40°まで広げることができる製品であること、さらにワーキングディスタンスは0-1490mmであることが分かります。
RF100mmは最大倍率が1.4倍という最強レンズなのですが、ワーキングディスタンス0mmでの最大倍率が0.9倍なのは少し残念でしょうか?
いえ、そんなに寄れるならMFO-3を外します。
というわけで気になるのはワーキングディスタンスが最長の1490mmのときの視野幅です。
言い換えるとこのレンズを付けることによってピントの合うギリギリの距離で何cmの魚が撮れるようになるのかということですね。
視野幅の算出
少し話は反れるのですが、水の屈折率は1.333なので陸上と水中での同じレンズを使ったときの挙動は異なります。
100mmのレンズは水中だと実質133mmのレンズとして振る舞い、対角画角は約18°に狭まります。
公式のスペックで対角画角が40°になるというのが陸上での値なのか水中での値なのかが分からないのですが、本ブログでは水中用のレンズだし水中での値が40°になると信じて視野幅を算出します。
対角の視野幅をW、ワーキングディスタンスをA、対角画角をΘとすると、W=2×A×tan(Θ/2)が成り立ちます。
よって最大のワーキングディスタンスでの対角視野幅Wは2×1490×tan20°≒1084mmと求まります。
R5のセンサーのアスペクト比は3:2なので水平視野幅はW×cos(arctan(2/3))≒901mm、垂直視野幅はW×sin(arctan(2/3))≒601mmと求まります。
つまり、RF100mmにMFO-3を装着すると約1.5m離れたときに90cm×60cmまでの魚なら画角に収まることが分かりました。
陸上でその画角を再現するとこんな感じです。
ちなみに対角画角40°というスペックが水中の屈折率を考慮済みという前提が間違っていた場合は、補正対角画角Θが約30°になります。
このとき同様の計算により、水平視野幅は663mm、垂直視野幅は442mmと求まります。
これは…ちょっと狭すぎますね。
海外の紹介動画の15:34あたりから写真の失敗例としてウミガメに寄れなかったときに被写体がボケてしまうという説明があります。
この画角を見るに、70cmを超えてしまったというよりは90cmを超えてしまった雰囲気を感じるので、おそらく仮定は正しく、90cm×60cmまでの魚なら画角に収まるのだと思います。
大きな魚
僕の夢は不意のマンボウに対応することで、そのためにズームレンズ+ドームポートを購入したのですが、残念ながらマンボウの通常サイズは1~3mなので、MFO-3を保険として持つだけでは対応できません。
しかし、不意のマンボウやカジキなどをスコープから外すと意外とリーズナブルな仕様に収まっている気もします。
普段100mmで撮りにくいのはブダイやヒメジ、ハタ、大型のキンチャクダイ、ニザダイなどでしょうか?
IOPで大型の魚というとクエ (80cm) やヘラヤガラ (80cm)、アオブダイ (70cm)、コブダイ (80cm)、サカタザメ (60cm) などですね。
これらは基本90cmに収まるのでMFO-3があればOKです。また、不意の産卵シーンなどにも対応できそうです。
個人的に悔しい思いをしたのは以下のフトツノザメやキビレハタ、アカアマダイです。

フトツノザメは到底撮れるはずもなくGoProからの切り出しとなったのですが、通常60cmほどなのでバッチリ撮れそうです。

キビレハタは撮影可能時間が5秒もなかったのですが、MFO-3をバヨネットで付けていたらギリ対応できそうな気がします。DoFも深そうですし。

アカアマダイは無理やり100mmで撮ったのですが、こちらも50cmほどなので画角的には余裕そうです。
問題は1.5mまで近づけるかということなのですが、これは結構シビアで種によっては難しそうです。
というのも大きな魚ほどパーソナルスペースは広くなりがちなのでより一層寄るスキルが求められます。
でも無理そうなら遠くからMFO-3なしで撮るという選択肢が取れるのでそんなに憂う必要はないかもしれません。
ちなみにRF100mm単体 (水中の水平画角15°) で90cmの水平視野幅を達成するには約3.4m離れる必要があります。
なので被写体が90cmという最悪の場合、1.5m~3.4mの間の距離では何も太刀打ちできなくなってしまうことには注意が必要です。
気合で1.5mまで寄るか、3.4mまで離れるか選択しなければなりません。
デメリットと個人的使用法
散々議論した通り、一つ目のデメリットはワーキングディスタンスが1.5mとやや短いことです。
それによって撮ることのできる魚のサイズが90cm程度まで絞られます。
また、二つ目のデメリットはレンズの物理的な長さが12cmほど伸びるので、小さな被写体にはストロボの光を当てにくくなるということです。
ただ上述の通り、僕はこのレンズを使って大きな魚を撮ることにしか興味がないので気にしなくてよい課題な気がします。
ちなみに小さな被写体を撮るときでもMFO-3を使いつつ、魚に極端に接近することで、①水のニゴリや浮遊物の影響を極力軽減する、②低照度でもAFでのフォーカスが合わせやすくなる、などのメリットがあるようです。
以上を踏まえると、個人的な使用法としては100mmを使う通常時の保険として常に持っておくことで心の余裕を保つということになりそうです。
いつも持っていくレンズを100mmにするか24-70mmにするかで悩みがちなのですが、基本的には100mmを持っていけばOKというスタンスになるのはデカいです。
一方、大きな魚を狙うことがあらかじめ決まっている場合や浮遊系を狙う場合は24-70mmをおとなしく持っていくのがよさそうです。
(※100mm+MFO-3も浮遊系は得意だと思いますが、おそらくそれを上回るほどEF24-70mmF4は対浮遊系最強レンズだと思っています)
ちなみに値段は132,000円です。ちょっと高く感じますが、ワイドレンズとポートを買うより断然安いです。
撮れるはずだった一期一会の大きな魚を撮る機会はお金では買えません。撮影の機会すぐに買いましょう。
最後になりますが、本ブログの仮定や計算が間違っていたらすみません。こっそり教えていただけると助かります。